2019年の8月を以て全国のコンビニエンスストアより、『成人向け雑誌』所謂『エロ本』がコンビニから姿を消しました。エロ本がコンビニから消えるきっかけとなったのは以下の2つと言われています。
①子供や女性客への配慮
②外国人観光客の増加による配慮
2020年に開催予定であった東京オリンピックに向け、撤去する方針へと各コンビニエンスストアが本格的に動き出しました。
始めに動いたのはミニストップで、2018年1月には成人向け雑誌の販売を停止しました。その後2019年8月にはセブンイレブン・ファミリーマート・ローソンも販売を終了して、全国の大手コンビニエンスストアよりエロ本は姿を消しました。
コンビニから『エロ本』が消えたのはオリンピックや大阪万博に先駆けてと言われていますが、実際にコンビニのエロ本撤去の流れはもっと昔から政策として存在していました。多くの物議を醸しだしたエロ本の撤去ですが、まずは規制の歴史に焦点を当てて確認していきます。
歴史から見る規制の流れ
2001年3月 | 第三者機関『出版ゾーニング委員会』発足 |
2001年10月 | 都条例によりゾーニングの義務化 |
2004年6月 | 都条例により成人向けの立ち読み防止用のシール止めが義務化 |
2010年11月 | 都条例改正案『非実在少年』の問題 |
2019年8月 | コンビニでの成人向け雑誌の販売を中止 |
関連する部分の大まかな部分をまとめました。割愛している部分もあります。
出版ゾーニング委員会とは
出版物の表現の自由を守りつつも、青少年の健全性を重視することを目的とした組織です。
主に出版物の区分陳列(ゾーニング)を行う事で、青少年の目に触れにくくすることで、出版業界と青少年を相互に守りましょう。という組織になっています。
あえて過激な表現を行っている出版物を取り締まるのではなく、青少年の目から遠ざけることによって出版物の表現に制限を設けることなく健全化を目指すことが本懐になります。
とはいえ、出版物の規制については多くの歴史があります。単純にゾーニング委員会が台頭してからコンビニからエロ本が消えたというわけではないことを念頭においてください。
成人向け雑誌の立ち読み防止策の義務化
2004年よりゾーニングの義務化により、書籍のシール綴じにより立ち読み防止策が全国で敢行されました。立ち読みが出来ない弊害として起こったことが表紙の過激化です。
購買者は表紙でしか雑誌の情報が伝わらないため、表紙をより扇情的な表現を用いることにより購買欲を高めました。
コンビニのエロ本は2004年に中を見れないようシール留めする自主規制を始めたことで、表紙しか情報伝達手段がなくなったため、情報過多で扇情的な表紙デザインに変わってしまった。エロ本が昔よりひどく下品に見えるのはそのせいだと思う。『URECCO』の2004年12月号と2005年1月号を並べるとわかる pic.twitter.com/2ac88Z8MWZ
— barbor (@blogdexjp) January 25, 2019
このためエリア区画が完全に別れている書店などとは違い、コンビニの区画では一般客のセンシティブな情報を与えてしまう恐れがあります。成年向け雑誌の取扱について、様々な意見が出ることとなりました。
この一連の流れによる表紙内容の過激化から、コンビニから成人向け雑誌の排斥運動が強まったのも事実です。
非実在青少年とは
2010年に起きて表現者をはじめとする国民が、東京都を相手にして大きな問題として『東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案』の通称”非実在青少年”と呼ばれる表現規制の法案を巡って多くの波紋を生みました。
今となっては「そんなことがあったな」という出来事かもしれませんが、クリエイターのみならず国民全体に影響をもたらす大きな問題でした。
社会問題として取り上げられた法案ですが、多くの反対派の行動により否決になりました。この頃より表現に関する問題は全国にも認知されており、コンビニにおけるエロ本の在り方についても問題視されるようになっていきました。
コンビニでの成人向け雑誌の取扱停止について
2019年で全国展開している各コンビニチェーンでの成人向け雑誌の取扱いについては実質販売停止となりました。全国で『成人向け雑誌コーナー』のゾーニングされたエリアは消えて、完全に撤廃されたように見えました。
しかし出版社もコンビニという大手の流通を欠くことは出来ませんし、流通先がなくなるという事で大きな打撃を受けました。現在ではソフト路線で少数ながらコンビニでの販売をしています。
現在の成人向け雑誌
成人向け雑誌は姿を変えて生き残っていて、表紙についても裸体などの過剰な表現ではなく、水着などのソフトな表現へと変化しております。
お互いの意見をを重ねた結果このような形で落ち着いたのでしょうが、今後はどのように変化するのか気になるところではあります。表現についてや販売方法などもまた変化があるかもしれません。コンビニの雑誌コーナー変化は多くの背景を持っているので、今後も動きがあるように思われます。
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