実はアイドルが大好きです。小学生時代のピンクレディーから始まり、中森明菜、森高千里、モーニング娘。、メロン記念日、ももいろクローバーZ……と、人生の大半をアイドルの応援に費やしてきました。タチの悪いことに、歳を重ねれば重ねるほど、そのハマり具合も尋常ではなくなり、今では仕事の合間にアイドルを追いかけているのか、アイドルを追いかけている合間に仕事をしているのかわからなくなってしまったほど。ちなみに、現在はTEAM SHACHIという名古屋発の四人組ガールズユニットにゾッコンです。つい最近、新曲「Rocket Queen feat.MCU/Rock Away」が発売されたばかりなので、皆様ぜひチェックしてみてください。坂本遥奈ちゃんがこれまた超絶に可愛いんだよなあ。
というわけで、TEAM SHACHIのライブを観るためなら、日本全国どこへでも飛んでいってしまう黒田は、つい先日、仙台へと出かけてまいりました。せっかくこんな遠いところまで来たのですから、ライブを観て牛タンを食べてずんだシェイクを飲んで帰るだけではもったいない。仙台の古書店を巡ろうと思い立ち、SNSで仙台市内の古書店情報を募り、気になったお店へ出かけてみることに。これなら、「仙台へなにしに行くの? もしかしてまたアイドルのおっかけ?」と呆れ顔で尋ねられたときでも、「バカ野郎。今回は仕事だ、仕事!」と堂々と答えることができますからね。
さて、ライブ当日。仙台駅へ到着し、牛タンで腹ごしらえをした僕は早速、チェックした古書店へ。仙台駅から徒歩十分ほど。定禅寺通にある「火星の庭」という名前からしてそそられちゃうお店です。古書店というと、どことなく埃っぽくて殺風景なイメージを抱きがちですが、ここはなんと店の半分がカフェになっているというお洒落な造りらしく、いやがうえにも期待が膨らみます。この連載の取材で初めて訪れる古書店ですから、気合も充分。ワクワクしながら店を訪れました。
「火星の庭」に到着!
定休日でした(涙)。
……店の前に崩れ落ちる黒田。皆様、初めてのお店へ出かけるときには、必ず事前に定休日を調べておきましょう。
しかし、ここでへこたれるわけにはいきません。へこたれてしまったら、連載二回目にして穴を空けてしまうことになります。気を取り直し、次の目的地へ。
仙台駅からバスに乗って約三十分。太白区鈎取本町にある「萬葉堂書店」へやって来ました。頂いた情報によると、仙台最大の古書店だとのこと。なんと、十万冊以上の本が陳列されているのだとか。これはもう絶対楽しいに決まっています。
「萬葉堂書店」に到着!
住宅街にぽつりとたたずむ一軒家。駐車場がやたらと広く、ぱっと見た感じは郊外型の新刊書店のような雰囲気ですが……
おおっ!
一歩中に入ると、そこはまさしくパラダイス。新刊書店では味わえない独特の空気が流れておりました。
まず、店内の広さに驚かされます。入口からだと、店の奥がまったく見えません。天井近くまである棚はどれもぎっしりと本が詰め込まれていますし、分類も丁寧にされているため、図書館に来たかと錯覚してしまうほど。
手荷物はすべてレジ横のロッカーに預けるシステム。万引き防止のための対策なのでしょうが、こちらとしても本を探すときに両手が空くのはありがたい。
店長さんに取材許可をいただき、店の隅から隅までウハウハと探検しちゃいましたよ。
現代文学作品も多数。著者別五十音順で並べられているのは嬉しい限り。
サイン本がこんなにたくさん! じゅるり(よだれをすする音)
ハヤカワのポケミスがこんなにも。いい眺めだなあ。
全集も充実!
店の奥には郷土資料コーナーも。
なお、入口付近には比較的新しめのコミックや児童書、ベストセラー本なども置いてあって、一般の方からマニアまで誰もが楽しめる品揃えとなっております。
さてさて。一時間以上かけて広い店内を探索し、充分に満足しかけていた僕の目の前に……。
地下室へと続く階段が現れた!
目の前の本棚にばかり夢中になっていて、地下室があることになんてまったく気づいていませんでした。探検にはダンジョンがつきものです。これはもう興奮しまくり。しかも、店員さんに声をかけなければ入れないシステム。ということは、この奥には相当珍しいお宝が? なに、このワクワクしまくりのシチュエーション。一体、どんなお宝が眠っているというのでしょーか?
というわけで、店員さんのお許しをいただいて、潜入しちゃいましたよ!
ひっそりと静まり返った階段を一段一段降りていくにつれて、地下室の内部が少しずつ明らかになっていく感じがまたたまらなくよかったり。
地下室は天井こそ低いものの、スペース自体は一階部分とほぼ変わらず、これまたものすごい広さ。ほかに客は見当たらず、店員さんの姿もなくて、ダンジョンにたたずんでいるのは僕一人だけ。そして、そこに陳列されたお宝とは……。
ああ、残念! 枚数が足りません。書きたいことは山ほどありますが、この先の感動は、実際に萬葉堂書店へ出かけて味わってみてください。
というわけで、地下室で見つけたお宝をほんのちょっぴりだけお見せして、今回のレポートを終わりたいと思います。
いやあ、萬葉堂書店、めちゃくちゃスケールの大きい古書店でした。在庫十万冊の売り文句は伊達じゃありません。こんなお店が近所にあったら、毎日のように通っちゃうだろうなあ。
今回、定休日だった「火星の庭」にも行ってみたいし、ほかにも焼きカレーの美味しい「青山文庫」、金曜夜のみ営業している古書のある飲み屋「鉄塔文庫」など、仙台には面白そうな古書店がまだまだたくさんあるみたいなので、いずれ訪れてみたいと思います。
次回は博多の古書店を直撃!
《今回、お世話になった古書店さま》
萬葉堂書店
年中無休 10:00~21:00
宮城県仙台市太白区鈎取本町1-15-40
http://www.manyodoshoten.com/
《今月のくろけん》
現在発売中の〈本の雑誌〉11月号にて、我が家の本棚が紹介されております。暇で暇でどーしようもないという方は、御覧になっていただけると幸いです。どーぞよろしく。
黒田研二(くろだ・けんじ)
作家。出版社勤務を経て、2000年『ウェディング・ドレス』(講談社)で第16回メフィスト賞を受賞してデビュー。主な著作は『今日を忘れた明日の僕へ』(原書房)、『カンニング少女』『キュート&ニート』(以上文藝春秋)など。近年は『逆転裁判』『逆転検事』のコミカライズ(講談社)、『真かまいたちの夜』のメインシナリオ、『青鬼』のノベライズ(PHP研究所)など、ゲーム関連の仕事が中心。得意なスポーツは水泳、スキー。好きなものは柴犬、アイドル。
Twitter:https://twitter.com/kuroken01