この度は、二玄社の『書道技法講座』を全50冊お揃いの状態でお売り頂きました。 こちらの書道本 も書跡名品叢刊 、中国法書選法書ガイド と並んで、書道のご本をお売り頂く際には必ずと言ってもいい程にご一緒に入っているものとなりますが、全冊お揃いという状態で、新装版というのは中々お珍しいです。
書道=堅いイメージを抱かれている人が多いかと思います。 例えば上記のような漢字、一般的な方であれば、普段の生活で目にすることも使うことも、まずないでしょう。書においては、楷書、草書、行書と3つに分かれており、お客様から読めないと最もよく言われている場合には草書の字体が一番多いでしょう。達筆な字で書かれているのがお分かりになられるかと思います。楷書のように崩されていない字体であり、漢字として認識できても、読み方自体が難しいものも多いですからね。そんな時に役立つのが字典です。
これもまた色々なものが出版されておりますが、今回私は講談社から出ている現代字体字典というものを使用し、ご紹介しております。書を習うにはまず楷書からと言われているのも字の基本体となるからですね。これについては後程ご紹介致します。
ですが、若い方は知らずの内にこういった字体を結構使っているんですよね。 決して書を軽んじている訳ではございませんが、一つ若者達がよく使っている例をご紹介させてください。
上記の写真にも載っている【艸】という漢字ですが、顔文字としてよく見かけるこちら( ´艸`) 手で口をおおっているように見せている顔文字となりまして、その手にあたる部分を”艸”(そう)という漢字で表しています。
以上は一例に過ぎませんが、それ故に書道に関するご本のご相談をお受けする際、お客様から『字が読めなくて伝えられない』 と言われるケースが多々ございます。理由はご自身のご本ではなく、書を嗜んでいたご遺族様が大切にされていたご本を整理する事となったので・・・というご事情の為です。
【弊店で書道本を買い取りさせて頂いている中でお客様のご事情が多いもの】 ○ご自身のものではなく、価値が分からないから見てほしい。 ○今まで大切にしてきたけれど、そろそろ整理を兼ねて手放そうと考えた。 ○買取の金額にこだわりはないけれど、専門店に任せたい。 ○もう使わなくなったので、他に役立ててくれる人へと譲りたい。 ○知り合いから譲り受けたけれど、自分は使わないので売りたい。 ○専門店だからこそ任せたい。
こういったご事情から弊店にご相談を頂戴する事が多いため、弊店にご依頼を頂いている年齢層は実に幅広いです。ここで冒頭の書道=堅いイメージという部分に戻りますが、お若い方でもお気軽にご相談頂ければという想いから、古書店という専門店としては中々に類を見ないライン査定 というものを始めたという訳です。
その結果、お若い方からのご相談も、ありがたい事に以前よりだいぶ頂戴するようになりました。 その中からあの顔文字もお返事で見ることが多くなったので、例として載せてみました(笑)
ついつい、前置きが長くなってしまいましたが、それでは今回の書道技法講座についてご紹介していきたいと思います。 こちらの書道技法講座は、歴代名筆の中から各書体、各書風について、その基礎的な用筆結構法を習得するのに適切と思われる筆跡を抜粋して手本とされています。簡単に言えば書を書く方法を書きながら学べるという事ですね。
【技法講座の特徴を要約してみました】 ①各巻では一種類の筆跡に限定し、特に大切だと思われる部分だけに焦点を当てている。 ②各手本には、その技法の理解と練習をしやすくする為、適切な大きさまで筆跡を拡大している。 ③別に原寸の筆跡も掲載し、対照もはかれるようにしている。 ④技法の解説は入門層の独習者を対象としている。 ⑤各巻によって書体、書風が異なっているので、どの巻数からという順序はない。
以上がこの本ならではの特徴的な部分ですかね。 写真付きの書き方ガイドも有り難いですね。 ちなみに、こちらの筆の持ち方は中国的ではありますが、一例として、あえてそのまま掲載されています。
先程の②筆跡を拡大しているというのがこちらです。 元の筆跡を約2倍の拡大率で1ページに8字という形で構成されています。 (巻によっては12字、6字などもございます)
その中から一つ代表的なものを。 九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんのめい) 欧陽詢(おうよう じゅん)
初めて書を習うには、通常まずは楷書から始めます。 楷書は書法の基本的な結構、用筆を備えているので、各書体の書法中最も重要であるからと言われています。楷書とは、崩されていない書き方で書かれている漢字の書体の事です。その楷書の中でもこちらの「九成宮醴泉銘」は、手本として理想的であるとされています。何故ならば、字形が大きく正規で端厳、楷書としての条件を見事に満たしているからです。
今回の書道技法講座は入門向けの手本とする事を目的とされているため、九成宮醴泉銘のすべてまでは記載されておりませんが、全文が気になられる方は、冒頭でも軽く触れた中国法書選法書ガイド の31巻 をご覧頂ければと思います。
もしくは、原寸大を見ながら手本としたいという方にはこちら。 原寸大コロタイプ精印のものをご覧になられてもいいかと思います。 こちらのものと合わせて今回の書道技法講座を利用するのが私の個人的なおすすめです。
私が書に関する評論を読んでいた時に、今でも記憶に残っているのが、本来、手本とはどのようにして使うべきものなのかというお話。
当然見て書く為に使うわけですが、”書く”という部分にばかり集中してしまい、案外よく見ていないという事に気付けていないものです。実際にはこの”見る”という行為こそが一番大切なんですよね。勿論、書けば書くだけ字が上手くなるというのも当然でしょう。また見ていただけでは気が付くことができなかった事に対し、実際に書いてみる事によって、正確にとらえられるようになる事もあります。つまり何が言いたいのかというと、よく見てから書く、書いたらまたよく見る。この繰り返しが大事であり、とにかく見ることを疎かにしてはいけないという事です。
“見る”という部分だけでも様々な見方があり、記憶に残るように見る、書いた者の気持ちになって見る、実際に自分が書いている気になりながら見る等、今行き詰まってしまっている方は、どのような見方をするのがいいのか、一度考えてみてもいいのかもしれません。見方を変える事によって、その見え方も変わってくるというものです。
中国書画墨 上海墨廠出品 曺素功堯千氏 墨運堂造 龍翔鳳舞
古書店三月兎之杜ではこのような書道に関する本、専門書から、未使用であれば硯、筆、画仙紙など、書道用品もご一緒に買取させて頂いております。特に画仙紙などは傷みが酷いから・・・と、捨てられてしまう方も多くいらっしゃいます。そのような状態であったとしても、買い取りさせて頂ける可能性が大いにございますので、まずはお気軽にご相談からでも頂ければ幸いです。
中国画仙紙を大量買取!総重量130kg分をお売り頂きました(宣紙/半紙/書道) ご参考までに書道紙の状態につきましては上記をご参照ください。
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投稿者:usagi