アラフィフ世代感涙! 1980年代前半のケイブンシャ『全怪獣怪人大百科』をお譲りいただきました。1971年末(『仮面ライダー』第1作放映年)から刊行された『原色怪獣怪人大百科』を母体とし、1974年からこの豆本型の判型となりました。以後、1年ごとに情報を更新して1984年末の「60年度版」まで発行されています。
内容はその名の通りテレビ・映画のキャラクターを掲載。その年の最新作が中心ですが、過去作品も継続して収録するため、年々タイトル・キャラクターの数も増加しました。75年末刊行の「51年度版」から80年末刊行の「56年度版」まではロボットアニメほかアニメ作品も取り扱っていましたが、「57年度版」以降は特撮作品に集約。アニメヒーローは別途『ヒーローロボット大百科』で扱っています。
1980年末発行。70年代後半のリバイバルブームの影響が強い「ウルトラマン80」「仮面ライダースーパー1」「太陽の使者 鉄人28号」と、同年1月の放送終了後に人気が拡大していった「機動戦士ガンダム」が表紙にセレクトされています。そうしたロボットやヒーロー全てをまとめて「●匹」と数えるところがまさに「怪獣怪人」由来であることを感じさせます。
この年からアニメ作品が独立。表紙でも<特撮怪獣・怪人3090体大集合!>と、特撮作品に絞っている旨が表記されています。同時に怪獣・怪人の単位も「●体」へと変更されました。作品数が少なくなり紹介記事に余裕ができたのか、冒頭のカラー記事では過去作品との比較やカテゴリ分類など、作品の枠を越えた内容になっています。例えば戦隊ヒーローも強化服型とサイボーグ型に分かれて紹介されています。
番組数を多く収録する方向に変更。その分キャラクターの収録数が減った? 表紙にある通り『月光仮面』から最新の特撮作品までを網羅します。番組中のコーナーだったタケちゃんマンも、ブラックデビルや吉田君と吉田君のおとうさんを収録。ピンキーパンチ(松本伊代・柏原芳恵)も取り扱っています。
記事パートではヒロインや悪役に注目したり、ヒーローの様々なランキング特集など、前年同様番組を越えての比較がメインでした。注目は「もっとも仲間の数が多いのは? 大量戦隊ベスト4」という記事。この時は大量のロボット学校のメンバーがトップでしたが、続くのはウルトラマンとライダーチーム。スーパー戦隊はこの時はまとめられることはなく、別個の世界観という認識だったようですね。
番組数増加はもちろん、収録キャラクター数も3000体以上に戻りました。記事パートは遂に俳優としてのヒーローや悪役に着目。この時点ですでに4作品の変身ヒーローを演じている宮内洋や、悪役を演じるベテラン勢の、ヒーロー番組以外での活躍にも触れています。
また、ヒーローの身長比較の記事も面白いですね。メガロマンの身長150mあったんですね。スペクトルマンの「無限」は適当すぎますね。そのほか着ぐるみの再利用や撮影会後に変更されたNG版のヒーロースーツについても触れられるなど、どんどん楽屋裏を見せていく傾向が窺えます。Dr.カモノハシは別会社のマスコットキャラでもありますね。ライターの方が同じだったんです。
59年度版に掲載された前年までの全怪獣怪人大百科の一覧です。
ビデオデッキの普及も不十分な80年代頃までは、こうした子供向けの本が貴重な資料・データベースでもありました。また、この時期だんだんと「いい歳」をした大人(といっても少年~青年程度の世代)が特撮やアニメ・マンガを読んでもいいじゃないかという風潮が生まれつつありました。今回の4冊の記事内容の変遷でも触れましたが、毎年出るものですので「同じことをしない」という心意気はもちろん、読者の成長や年齢の高い読者に支持されていることを意識した傾向なのだと思います。
今回お譲りいただいた4冊はコンディションも「え?復刻したっけ?」と思うほど素晴らしく、内容も懐かしくて勉強になるものでした。ありがとうございました。知識とメンタルを刺激する、大百科シリーズほか児童向けの豆本シリーズはぜひ三月兎之杜にお譲りください!
詳しくは、古書店三月兎之杜の文化・教養・趣味本ページを是非ご覧ください。
投稿者:usagi