昭和55年発行の復刻版『適情録』全20巻揃いを宅配買取にてお譲りいただきました。どうもありがとうございます。こちらは特製化粧桐箱と四方帙に収められた状態で、なんとも厳かな雰囲気です。
復刻の記念として”昭和の棋聖”呉清源が特別に染筆した真筆色紙が付属します。この題字「適情養性」というのは、「情を正しく表せば、天性もおのずと養われる」という意味を表しています。
写真は10冊ですが、全部で20冊の和綴本と解説書2冊が含まれております。
原本は1525年、中国 明の時代に出版されました。室町時代に中国へ渡った日本人の僧・虚中は384局を収集し『決勝図』2巻をまとめました。その後、南京の囲碁研究家・林応龍と出会い、そして『決勝図』を再編しました。
林応龍にとって虚中との出会いは大きな出来事でした。虚中の手法に大変感銘を受けた林応龍は棋譜を記録し虚中が亡くなったあと20年の歳月をかけて『適情録』を完成させました。
虚中が手腕を研鑽し、林応龍が記し残す・・・二人が出会わなければ生まれなかった幻の棋書となっています。こんなこといったら一気に文が軽くなってしまうのは承知ですが、バクマンみたいだなぁと思ったり思わなかったり。
小川琢治博士が晩年に探し出した現存する唯一の原本を元にして復刻されたのが、今回お譲りいただきましたこちらの復刻版『適情録』となります。
500年近く昔の中国の書物ですので、解説本が無いとまったくわかりません。
そんな古い記録ですが現在でも通用する基礎的な手筋や詰碁が綴られているという話は耳にしていたので、パラパラと捲ってみましたが二大名著『官子譜』『玄玄碁経』と大きく違う点は、易経について記されていることです。
諸説ある・・・というよりは明確な起源はわかっていませんが囲碁はもともと易経から来ているといわれています。
碁盤の目たてよこ19×19+四隅が365となることから1年の日数に見立てられ、白黒は陰陽、碁盤の四角は地や宇宙で碁石の丸は星を表し、天文や易を研究するための道具として使われていたという説もあるようです。
色紙の染筆をおこなった呉清源も陰陽(白黒)のバランスを重要視していました。どちらかが強すぎても弱すぎてもダメで、釣り合いの取れた1手が最善の手なのだ、と。そういえば、『真髄は調和にあり』という著書も出していましたね。
囲碁と易の繋がりについて記された古い書物自体があまり現存していないですし、囲碁も教えつつ易にも触れるというより起源に近づいた棋書はありませんでした。文字通り唯一無二の存在です。
囲碁そのものを取り巻く真髄にまで触れた、囲碁の歴史的重要文献として大きな役割を担う棋書と言えるでしょう。
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投稿者:usagi