千葉県千葉市より宅配にて、貴重な「深夜の市長(海野十三)日本名探偵文庫」を買取させていただきました。
お売り頂きまして、誠にありがとうございました。
学生時代に読んだことがありましたので、再び出会えるとは運命ですね。冒頭から手に汗握る展開が最後まで続き、当時も一気に読めてしまった事を覚えております。思いがけない展開の連続で、全く飽きずに読めたのです。
ここで作品内の思い出の文章をひとつ。
「彼等が快い高鼾を掻いている間に、その枕許を起重機が軋み、刑事に追われた泥棒が走り、ゴミ箱に睡るルンペンの心臓がハタと停り、死所を求めて彷徨う家出人が大金の入った蟇口を拾い、硝子壜に白い牛乳が一杯詰められては蓋をされてゆくのだ。」
今回、再読致しましたが、今読んでも格好が良い言い回しだと感じます。
作者である、海野十三は日本SFの始祖とも言われておりますが、この「深夜の市長」は推理要素もありますので、自分的にはミステリー風SFホラー(詰め込みすぎですかね…汗)といった印象でした。
ところで・・・、日本の初期SF作品にありがちだった、ストーリーの破綻、伏線の回収無し、といった内容。こういった作品なぜか印象に残ります。最近このような破滅的な?作品を読みますと、モヤモヤ感が残り、実は読者に納得させないという部分まで作者が考えて書かれているのはないと勘ぐってしまっています。このモヤモヤ感が、かなり印象に残るのです。ここまでが作者の意図な気が・・・・と、考えすぎでしょうか(苦笑)。
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