藤沢周平/文藝春秋 の全26冊揃いお売りいただきました。
藤沢周平といえば、江戸時代で海坂藩という架空の舞台にした作品は有名ですね。
個人的な藤沢周平のイメージとしては、無駄な描写を極力排除し、その分、風景の描写や心理の描写に力を入れているように感じます。また、題材とする人物も剣豪・武家ではなく、無名の武士や市井の人々がメインです。そういった人々を中心に扱うので読み手側も、時代背景は違えど共感を得る箇所は要所要所にあると思います。
藤沢周平は良い結末も・悪い結末も描くのですが、ただそれが良い結末だから幸せだとか不幸かだとかではなく、登場人物の生き様を描いているので、どんな形で結末を迎えるにせよ、少し切なさを感じるように思います。
自分が好きな作品に「海鳴り」という作品があります。
この作品には破滅・希望・悲哀・悦楽と様々な感情が混ざっている作品だと思います。
ストーリーとしましては・・・、 一代で紙問屋を築いた主人公の小野屋 新兵衛(46)が、同業者の丸子屋の人妻・おこうと不倫の恋に落ちる話です。不義密通の逢瀬を重ねているうちに二人は後戻りができない状態に。(江戸時代の不倫は死罪です。)
しかし、刻一刻と迫り来る老い、死を待つ新兵衛としましても心情は穏やかではありません。(江戸時代での46歳です。人間五十年と言われていた時代です。)
さらに、追い打ちをかけるように、岡場所の女と心中騒ぎを起こした息子、妻との不仲、同業者の塙屋からの強請り。こんな悲惨な状況の新衛兵にとって、おこうだけが希望の光りだった。
おこうとの逢瀬を重ねれば、重ねるほど闇は深くなっていくと知りながらも二人は会い続けた。
丸子屋の主人や大店の策謀・塙屋から嫌がらせのようなたかりについに新兵衛の人生は破滅へと転落し始める。
現代では新鮮味が薄れた不倫がテーマの恋愛小説ですが、江戸時代では不倫そのものが罪なので、この行為自体が命がけ。そうだと分かっているのにもどうにもできない二人の男女。
そして、結末は・・・・
良かったら是非お読み下さい!お勧め致します。
今回、買取らせていただいたご本は全集物ですが、例えば「時代歴史小説」などテーマで纏まっている場合、ご本が大量にある場合、ハードカバーの単行本でも買取が可能な場合がございます。文庫本・単行本等の判型は問いません。是非一度、弊店にご相談ください。
ご相談は、古書店三月兎之杜の買取のお申し込みページよりご相談下さい。
フリーダイヤル:0120-996-504(10-20時/年中無休)でも結構です。