(探求書ご登録の方へご売約済となりました)
刊行期間が1975年から1979年という短い間ながら、数多の名作家を生み出した『幻影城』が入荷致しました。
「探偵小説」という言葉が一番似合う雑誌ではないでしょうか。
1970年代と言えば角川グループが大々的に仕掛けた「横溝正史ブーム」。76年には角川映画『犬神家の一族』が空前の大ヒットをとばしています。(ちなみにこのブログを書いている店員Wは渥美清「金田一」の1977年松竹『八つ墓村』が一番好きです!桜吹雪の要蔵!!)
そんな時代背景の中、この幻影城も横溝ブームだけに留まらない当時のミステリブームの牽引役となっていました。
幻影城誌上で募集された新人賞には泡坂妻夫、田中芳樹、連城三紀彦、栗本薫などの名前が並び、また竹本健治のデビュー作であり大傑作である『匣の中の失楽』も連載されていました。
現在、翻訳家として知られる夏来健次もこの幻影城出身ですね。
そして何といっても特筆すべきは、戦前戦後の激動の時代に生まれ、故に埋もれかけてしまっていた探偵小説の再収録です。
とくに『別冊幻影城』は作家一人一人をタイトルに掲げ、掘り下げた充実の内容です。
別冊の第1巻「横溝正史」(同氏ではその後計4冊刊行)から、別冊の最終となる第16巻「小酒井不木」に至るまで錚々たる顔ぶれが揃っています。
ちなみに、この『別冊幻影城』、実は刊行予定の草案にあった作家・作品はかなりの数にのぼっていたそうです。ゆうに数十冊分はあったとか。
ああ・・未刊行の『別冊幻影城』読んでみたかったですね。
この探偵小説の再録に関しては編集長であった島崎博氏の莫大な個人コレクションによるものが大きかったと思われます。
幻影城の休刊後、島崎氏は日本を離れ台湾に渡っており、国内ミステリ界隈では長らく音沙汰がなかったのですが、ここ数年はインターネット上でお名前をお見かけする機会も増えお元気そうで何よりです。
欲を言えば・・・また日本国内でも素敵な探偵小説を編んでほしいな・・・なんて考えてしまいます。
幻影城創刊号”編集者断想”に島崎氏が書いたであろうこんな一節がありました。
『探偵小説時代の夢とロマンを「幻影城」で再現したい。』
その想いそのものとなった、探偵小説専門誌です。
今回の入荷は別冊含む全69冊中4冊欠け65冊でしたが、この欠け4冊を古書店でのんびりと探し歩くのも、また古本ならではの楽しみかもしれません(^^;
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