限定千部版『三島由紀夫全集』を買取させていただきました。

天に金装が施された、見た目も豪華な『三島由紀夫全集』をお売りいただきました。
こちらは昭和48年に新潮社から限定1000部のみ発行されたものです。

三島由紀夫といえば、三島事件での演説の姿が有名なため、ガタイが良く筋肉質なイメージがありますが、
幼少期は体が弱く、詩や読書を愛した線の細い少年だったそうです。

大人になっても虚弱体質は変わらず青白く痩せており、『潮騒』の執筆のために取材滞在した神島で、
島民に病気療養のために来たと勘違いされたほど。

この『潮騒』は三島由紀夫の『金閣寺』に続く代表作のひとつですが、古代ギリシアの『ダフニスとクロエ』をプロットに作られた、
透明感あふれる恋愛小説です。

『潮騒』は、歌島(現在の神島)を舞台に、若く純朴な漁夫と海女が、障害や困難を乗り越え、恋を成就させるまでを描いた純愛物語。
一方の『ダフニスとクロエ』は、エーゲ海に浮かぶ牧歌的な島を舞台に少年と少女に芽生えた恋とその成就が、様々な困難の逸話を絡めて書かれています。
そっくりですよね。
実は、三島由紀夫自身が「『ダフニスとクロエ』を底本とした小説の執筆を考へ、(中略)ほとんど原作どほりのプロットを作つた」と宣言しているので、当たり前と言えば当たり前なのです。
とはいえ、『潮騒』は国内だけでなく、海外でもベストセラーになるほどで、世界中で翻訳され、評価されています。

先に書いたとおり、三島由紀夫を演説時のイメージで捉えてしまうと意外ですが、彼の長編作品には、思想的なものは少なく、その多くは恋愛小説です。
ボディビル等で肉体改造を行い、健康的な体となったものの、繊細かつ純粋な三島由紀夫の筆は、かつての少年時代を彷彿とさせます。

文学者としての三島由紀夫の作品を読むと、彼のまた違った側面に出会えるかもしれませんね。

三島由紀夫全集は、限定版以外にも、近年に同じく新潮社から出版された「決定版 三島由紀夫全集」はもちろん、黒い函に入った旧版の全集も買取させて頂いております。
ご依頼はフリーダイヤル:0120-996-504(10-20時/年中無休)または古書店三月兎之杜のWEBサイトより、お気軽にご相談下さいませ。

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