今回の買取書籍は『川上澄生作 蔵書票作品集』のご紹介です。
川上澄生は、職を転々とし、本格的に木版画の製作を始めたのは20代半ばからという、遅咲きの芸術家です。
専門的に芸術を学んだり、誰かに師事するわけでもありませんでしたが、その腕は確かだったようです。
代表作の“初夏の風”は、油彩画家を目指していた棟方志功が版画に転身するきっかけとなった作品として知られています。
さて、話を戻しまして、『川上澄生作 蔵書票作品集』は1950年発行の非売品、限定30部のうちの1冊という非常に貴重な逸品です。
1965年にも限定50部でこのような蔵書票の作品集を発行していますが、こちらはそれより前の作品となります。
奥付には、
“限定30部を造り16部を会員え頒布
5部を寄贈、残9部を希望者え頒つ”
と書いてあります通り、ずいぶん少ない冊数と思われますが、一枚一枚本物の蔵書票が貼付されているので、手製に近い製本なのでしょうか。
木版画にサッと色づけされ、印刷では味わうことのできない、木版画独特の素朴さと暖かみが直に伝わってくる本となっています。
ちなみに蔵書票とは、本の見返し部分に貼る、今で言うネームシールです。
これは○○の本だよ!ということです。
ですので、作品にはもちろん、個人の名前が入っています。
本の存在が、現在よりも人々にとって重要な位置にあったことが伺えます。
現在でも、蔵書票は大型文具店などで取り扱っています。
あなたのお気に入りの1冊にもぜひ!
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