北海道のお客様より、川端康成全集』全35巻(新潮社)をお売り頂きました。
有難うございました。
川端康成といえば、いわずと知れた日本発のノーベル文学賞受賞者。
『雪国』の冒頭分、「国境(くにざかい)の長いトンネルを抜けると雪国であった」は、文学に興味の無い方でも耳にした事がある名文ですよね。
さらにその先-
「夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。(中略)もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、
鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた」
ともすれば寒々しい情景を、短い文章で美しく、かつその場にいるようなリアリティを損なわずに再現しています。
文章からも伺えるように、康成は美的感覚に優れていたようで、古代の埴輪から、江戸美術まで、様々な美術品を収集していたそうです。
また、彼の審美眼によって才能を見出された人も多く、水玉の絵でおなじみの草間彌生もその一人だとか。
古い考えに囚われず柔軟な審美眼を持っていたようですね。
中でも、柔らかで透明感のある画風で有名な、日本画家の東山魁夷とは深い交流があったそうです。
康成が東山の画集に序文を寄せ、東山は川端作品の挿絵や装丁を手掛けています。
冒頭の「川端康成全集」の題字を書いたのも、東山魁夷です。
川端作品は、彼の高い芸術性が表われているからこそ、一幅の絵画のように美しく、長く愛されているのでしょう。
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