哲学書買取『哲学・思想事典』(岩波書店/廣松渉ほか)

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古書店三月兎之杜で哲学書を重点的に買取しております。 今回のご紹介は、廣松渉などが編集人となり、1998年に岩波書店から発行された『哲学・思想事典』です。

往々にして哲学・思想の界隈では、個々の思想や論述だけを切り取るのではなく、それらが生まれた経緯、師弟関係や交友関係など、系統立てる必要に迫られることがあります。

例えば精神分析学ではその祖たるフロイトから分派してユングやクラインなど多数の学派に分かれました。

哲学・思想事典 背表紙

哲学の分野においても、例えば近代ヨーロッパの哲学思想はイギリス経験論と大陸合理主義に大別されていた時代がありました。いずれも古代ギリシアのイオニア学派にはじまる自然哲学などにまで遡ることができますが、大陸合理主義は11世紀に確立したスコラ学をルーツとしています。

しかし13世紀のオックスフォード学派はスコラ学を批判して経験を重視。合理主義における演繹法に対して経験論では帰納法といったかたちで対立しつつも発展を続けていました。

さらに、合理主義がその前提や形式を批判的に扱う懐疑主義が登場するなどして、最終的に両者はカントの批判哲学によって総合されていきます。

カントの『純粋理性批判』への反動としてカントに対して批判的なドイツ観念論が台頭します。その主な論者はフィヒテ、シェリング、ヘーゲルといった人物で、主にカントの批判哲学的考察を「克服」あるいは「後退」させるかたちで発展していきます。

最も影響を与えたヘーゲルは「ヘーゲル学派」とも呼べる勢力となります。しかしヘーゲルの死後、その学派は細々と分裂していきました。そこで「カントに帰れ」という新カント派が現れます。

哲学・思想事典  ケース正面

この様に中世から近代の西洋哲学の一部の流れをかいつまんでみても、それぞれ影響を受けた人物、学派を把握していく必要があります。

ましてや中国哲学、インド哲学などもまとめなければなりません。今回買取強化アイテムである『哲学・思想事典』は、こうした古今東西の哲学・思想および関連分野の事項・人名・署名を収めた基本事典となります。

分類においては思想潮流や意味内容の変化、展開の全体像を俯瞰できることを目標として項目を厳選。およそ4100にもおよぶ項目を800人の専門研究者が執筆しています。

わたくし実は90年代頭に文学部哲学科(西洋哲学)に通っていたのですが、あの時代にこの事典があれば、もうちょっと成績が上がったかもしれません……。

哲学・思想事典 奥付

古書店三月兎之杜では哲学・思想関連書籍の買取をお待ちしております! 『哲学・思想事典』は一冊で全体を俯瞰しますが、もちろんここの思想家の著作、全集なども大歓迎です。まずはご連絡ください!

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