現在古書店三月兎之杜では、心理学、精神分析学に関する書籍、刊行物の買取を強化しております。今回ご紹介するのは、知能指数の計測などに使われる「田中ビネー知能検査」に関する書籍です。
「田中ビネー知能検査」は、19世紀フランスの心理学者「アルフレッド・ビネー」が開発した知能検査法が基礎になっています。
ビネーは心理学的な立場から「フェティシズム」という言葉を使うことを提唱した人物でもあります。1905年に弟子であるテオドール・シモンとともに知能検査の手法「ビネー・シモン知能尺度」を発表しました。
当時のヨーロッパ諸国においては、初等教育制度の確立や義務教育がスタートしていました。しかしその過程において、学校の教育についていけない子供たちの存在が浮かび上がります。
そうした子供たちを特別なクラスで適切な教育を行うべきだという考え方が生まれますが、その際にどういった子供を特別なクラスへ編入させるべきかの基準がありませんでした。
ビネーとシモンの提唱した知能測定尺度はそうした子供たちの知能を図る尺度として提唱されたものとなります。1905年版の発表後も1908年版、1911年版とアップデートを重ねています。
同検査法は当時欧米諸国の政策や制度を積極的に採り入れていた日本にも導入されました。
最初に紹介したのは1908年、医学者の三宅鉱一です。その後何人かの医学者により日本に最適化されていきます。そして1930年代、心理学者の田中寛一は台湾や朝鮮などの東アジア地域や欧米書庫工の子供たちについての調査を進めるにあたり、言語の影響を受けない図形や数字だけを用いた集団式知能検査を作成します。
1936年に「田中B式知能検査」を発表し、以後時代に即した改訂を繰り返し行われていきました。
改訂は田中が他界した後も継続され、数度の改訂を経た2005年版「田中ビネー知能検査V」からは、14歳以上の被験者には精神年齢を算出せず、偏差値知能指数だけを求めるようになります。これはベースとなったビネー式の発表から100年を経て、大きく変わった部分といえるでしょう。2024年には最新版となる「田中ビネー知能検査VI」も発表されています。
古書店三月兎之杜では「田中ビネー知能検査V」理論/実施/採点マニュアルなどの買取をお待ちしております。また、田中教育研究所および田研出版による各種刊行物、関連書籍、教材などもあわせてお譲りください。まずはご連絡を!