ただいま三月兎之杜では、心理学・精神分析学の専門書の買取を強化しております。
先月ご紹介しましたアンナ・フロイトは、19世紀に精神分析学の創始者となったジークムント・フロイトの娘でした。学会や訓練所など父の仕事や研究を引き継ぐと同時に、アンナ自身も児童分析学を開拓しています。
その一方でややもすると性的要因に偏りがちだったジークムントの学説は、弟子たちとの対立や離反をも招きます。そうした中で最も有名な弟子はカール・グスタフ・ユングでしょうか。
コクサイ精神分析学会設立時にはユングを会長に据えるほどの信頼を寄せていましたが、無意識についての見解の違いなどから訣別してしまいます。
しかし後にナチスが政権を把握してからは、ユダヤ人であるフロイトを保護すべく奔走したのもユングでした。
今回とりあげるメラニー・クラインは、幼い子供たちに対して伝統的な精神分析を使用した最初の人物です。子供たちがおもちゃで遊ぶのを観察した後、遊びの具体的な意味を解釈しようとしています。
メラニーはもともとはフロイトのアイデアを忠実に支持していた一人ですが、その根本的な前提には疑問を感じ続けていました。児童精神分析学に関しては両親の参加をめぐって、アンナ・フロイトと激しい論争を繰り広げています。その論争は児童先進医学を複数の流派に分裂させる要因となりました。
精神分析学はこうした過程を経て、20世紀にはいるとユング学派、クライン学派ほか、多くの学派が起こっていきます。ただしこうした事象は、「新しい学問」にはつきものであり、精神分析学も例外ではなかったといえるのかもしれません。
古書店三月兎之杜ではメラニー・クラインの各種著作の買取をお待ちしております。トップに画像を掲載しました誠信書房の『メラニー・クライン著作集』ほか、『クライン学派用語事典』や、クラインの生涯や彼女精神分析における貢献などをわかりやすく解説した『メラニー・クライン』(いずれも同じく誠信書房)などの著作、そしてアンナ・フロイトやジークムント・フロイト、ユング、ラカンやドゥルーズなどの著作・全集なども大歓迎です。まずはご連絡ください。