ただいま古書店三月兎之杜では、心理学・精神分析学に関する専門書の買取を強化しています。今回はフロイトの娘であり、父から精神分析学を継承、発展させたイギリスの精神分析家アンナ・フロイトの著作集についてお話します。
アンナ・フロイトについて語るには、やはりその父であるオーストリア出身の心理学者ジークムント・フロイトについてお話せずにはいられません。おそらく心理学、精神分析学に詳しくない方でもフロイトの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
フロイトは1856年ウィーン出身。19世紀末から20世紀末にかけての精神分析学の始祖といえる人物であり、彼が提唱した臨床メソッドによって精神医学は飛躍的に発展します。もともとは神経科の医師でしたが、パリ留学の際に催眠によるヒステリー治療を研究していたシャルコーのもとで学びます。ウィーンへ帰国後は催眠によるヒステリー治療を実践しつつ改良を加えていきました。最終的には催眠療法から離れ、患者がリラックスした状態で自由に話をさせる「自由連想法」によって、患者の無自覚な部分、無意識の領域を探っていく方法を生み出します。この手法は細かいやり方や解釈などは変遷していきますが、現在に至るまで精神分析に関する基本的なスタイルとなりました。
アンナ・フロイトは1895年に生まれ、父から精神分析を学びます。1922年に最初の論文を発表し、翌年から精神分析家としての実践を開始します。しかし父ジークムントが癌に冒されていることが明らかとなり、アンナは父に代わって精神分析学会の事務局長やウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受けました。
しかし、第一次世界大戦後のウィーンはひどい困窮した状況で、アンナの姉をはじめとする何人かの身内やジークムントの弟子たちが次々と亡くなりました。さらにドイツで政権をとったナチスがオーストリアに侵攻すると、ユダヤ人であるフロイト一家にも迫害の手が迫ります。一家は多くの関係者の助力を得て1938年にイギリスに亡命。ジークムントは翌年に病気で世を去ります。一家が過ごしたロンドンの家はフロイト博物館となり、アンナ・フロイトの書斎も同館に残されています。
アンナ自身も父の研究を継承する以外に、戦争が子供に与える影響などについての調査や研究を発展させています。第二次世界大戦中、彼女たちと同様にナチスから逃れてキンダートランスポートによりイギリスに連れてこられた子供たちをケア。その過程において特に子供たちの防衛機制についての仕組みの解析を試みています。
アンナ・フロイトの著作は『自我と防衛』(誠信書房)などがありますが、そうした著作を全て集めたものが岩崎学術出版社の『アンナ・フロイト著作集』となります。たとえば先述の児童精神分析については「ハムステッドにおける研究(上)(下)」として著作集7~8巻に収められています。
古書店三月兎之杜では、心理学・精神医学に関する各種著作の買取をお待ちしております。
『アンナ・フロイト著作集』は全10巻揃いは大歓迎ですが、各巻ごとでも喜んで買取させていただきます。そのほか、同じ心理学・精神分析学に関する各種著作もあわせて買取いたします。
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