中国発祥の占術「式占」の一種、奇門遁甲の指南書をお譲りいただきました、ありがとうございます! 二十四節気や干支を組み合わせ、遁甲盤を作成して算出されるもので、中国では隋代の文献に見られ、唐の時代には遁甲盤の作成についても解説された書が確認されています。
一方日本でも中国の隋代にあたる西暦602年に百済から天文や遁甲にかかわる知識がもたらされていることが日本書紀に記録されています。
しかし隋の文帝の代(581-604)に行政上、軍事上の理由から発禁とされ、それにならって日本でも718年に禁じられるようになりました。しかし時代はくだって戦国時代になると、日本の風土にあわせた各種遁甲が生み出され、いわゆる軍師たちによって運用されました。
今回お譲りいただきました『奇門遁甲造作法』を著した透派は、台湾の五術家・張耀文(本名:張明澄)が太平洋戦争後に台湾からもたらしたものとなります。透派の伝える奇門遁甲は、中国の標準的なものとは大幅に異なっていたようです。
張明澄はもともとは中国医学や経済学、漢学の研究家であり、戦後日本との通商交渉などにもあたっていました。そうして来日する過程で中国医学や奇門遁甲などを伝えていったといわれています。
昭和35年頃には日本国内で透派遁甲学会が興され、日本人数名に伝授されました。以後同学会の講習や出版物によって流布されます。
『奇門遁甲造作法』は透派奇門遁甲術の中の造作法を公開しています、その内容は二部から構成されており、初代梅素香の著述である「奇門大法」からの「造作法」。もう一方は十代目王文沢の著述となる「奇門大法心得」からの「造作法密法」を説いています。
張耀文は透派十三代にあたります。本書を読むにあたっては奇門遁甲術の全てを習得し、遁甲盤が自由に作れ理解できる、五術の正しい運用を悟り、欲を第一としない人物に限るなど、かなり厳しい条件で、さすが「透派」の「密法」であるだけのことはありますね。
発行年などはすべて十干十二支の干支で表記され、初版発売は「甲寅年」すなわち昭和49年発行。今回お譲りいただいたのは「壬戌年」すなわち昭和52年の再版版となります。今回の造作法は各二巻および収蔵箱、などに至るまで非常に状態がよく、ヤケなどもほとんどありませんでした。大事に保管していただいたことにも感謝いたします。
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