『オレンジ通信』は東京三世社からリリースされていたアダルト雑誌です。その創刊は1982年で、主にアダルトビデオやビニ本などの情報を紹介、平行してヌードグラビアなどを掲載していました。
今回は1980年代後半~1990年代初頭を買取させていただきました。有難うございまいた。
単なるカタログ雑誌の範疇にとどまらず、こうした性関連メディアを文化としてとらえ、「資料号」と銘打った増刊オレンジ通信などもリリースしています。80年代はいわゆる裏本、裏ビデオなどの情報も紹介していますね。
同誌の人気を受けて80年代から90年代にかけて、AV・風俗情報や、ヌードグラビア誌として『アップル通信』(大洋書房)『アップル写真館』(大洋図書)『さくらんぼ通信』(大洋書房)『バナナ通信』(ラン出版)『マスカットノート』(大洋書房)『レモンプレス』(明文社)など、フルーツ系の誌名を冠するアダルト関連誌が乱立しました。
80年代から90年代にかけては、AV・ビニ本などのメディアを核として、例えばAV女優のグラビア写真を集めた一冊や、素人投稿系などを集めたムックなど、読者の好みによってアダルト雑誌のジャンル分けが細分化していった時期だったと感じます。ギャル文化が台頭すれば、それに反発するかのように熟女モノがいよいよ一つのジャンルとして確立。また、70年代から伝統的に続くSM系のアンダーグラウンド的なジャンルも、背徳的な意味合いは薄れあくまでジャンルの一つとなっていきました。そうした嗜好の細分化に伴い、一つの雑誌がそれぞれジャンル分けされ、新雑誌の創刊へとつながっていきます。
しかしそうした細分化が読者の分散にもつながったのかもしれません。00年代以降は各種経済的後退に加え、インターネットで配信される画像・動画の普及によって、特にアダルト雑誌はいち早く出版不況の煽りを受けた印象があります。先述の各種アダルト雑誌は続々と休刊し、オレンジ通信も2009年にその幕を下ろしました。
こうしたアダルト雑誌の執筆陣には個性豊かでユニークな人物も多く、後に全く異なるジャンルで名をはせる人も多いようです。また、近年はアダルトメディア研究科の安田理央氏や美少女コミック研究科の稀見理都氏などによって、こうしたアダルト雑誌文化が見直される機会が増えているようです。
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