豆本買取事例『悲母記』棟方志功|限定15部

悲母記 表紙

2023年に生誕120周年を迎えた青森出身の板画家・棟方志功による限定15部の『悲母記』(ゑぞ・豆ほん|北海道豆本の会|昭和34年)をお譲りいただきました、ありがとうございます。(写真左。写真右は通常の限定240部頒布版です)

本作は志功によるエッセイ作品で、志功が20歳の頃に亡くなった母について触れており、24歳の時に亡くなった父を語った『哀父記』と対になる作品でもあります。

棟方志功は画家を志して上京し、やがて川上澄生の版画に感動して版画家へと道を定めます。佐藤一英の詩『大和し美し』から発想を得た同名作品が出世作となり、文学者や書家たちとの交流を深めていきます。やがて作品に裏彩色を取り入れ、また、自身の版画を「板画」と呼ぶことを宣言します。

戦後はさらに多くの作品を発表し、日本にとどまらず世界各地でも版画に関する賞を受賞しています。自身も取材旅行として各地へ渡航、アメリカでは板画展や講義を行うなど、版画を介した交流を拡げていきました。

晩年は「世界のムナカタ」とも呼ばれるほど、全世界にその名が知られるようになります。

悲母記 署名

とはいえ埼玉県民にとってはやはり「十万石まんじゅうの包装紙の人」と言った方が通るかもしれませんね。テレビ埼玉で流れるローカルCM、野田圭一(『一休さん』新右衛門、『がんばれ!!ロボコン』ガンツ先生ほか)のナレーションで語られる「うまい、うますぎる」は棟方志功の発した言葉です。

まだ志功が世界的にはその真価を認められていなかった昭和28年。十万石まんじゅうの掛け紙(包装紙)用の絵を依頼する際に持参された、十万石まんじゅうを食べての感想だったとのことです。もともと志功は甘党で、パッケージの絵も「もし忍城の姫が生きていてこのまんじゅうを食べたなら、同じことを言うに違いない」という意味で、お姫さまがまんじゅうを食べている絵と、「うまい、うますぎる」の言葉が描かれています。

参考URL:https://www.jumangoku.co.jp/birth/

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