1984年に創刊された音楽雑誌「PATi-PATi」を買取させていただきました、ありがとうございます!
先日中森明菜のテレカ記事でも書きましたが(参考リンク)、1980年代前半から中盤にかけての女性アイドル界は、様々な個性や才能による多様化とグループデビューによる大規模化の波がありました。
同時に男性アイドルについても「たのきんトリオ」や「少年隊」「シブがき隊」などのグループ化が進んでいます。また、従来通りロックやニューミュージック歌手の人気が出て、結果的にアイドル化していくケースも多くありました。とにかく男女・ソロ・グループを問わず、アイドルデビューのハードルが下がった分、何かしらの個性を先鋭化させてインパクトを稼がないと、あっという間に埋もれてしまう時代でもありました。
そんなさなか、1983年にデビューした「チェッカーズ」は、ファニーなルックスと本格的な音楽性で、従来のバンド路線ともアイドル路線とも異なる存在でした。当時ロックやフォーク音楽を中心に扱っていた「ギターブックGB」は、当時の編集長はアイドル寄りのチェッカーズを扱わない方針としたそうです。しかし、同誌副編集長がそれに反発し、本誌とは別路線の雑誌を創刊することになりました。それが「PATi-PATi」だったと言われています。「PATi-PATi」創刊号の最初のページには、「ゲーノー界、ニューミュージック界、アイドル、アーティスト」といった「枠にとらわれない」、「ニュー・アーティスト」を応援する旨が宣言されています。
余談ですが、この髪型、校則の厳しかった学校の抜け道になって、当時の男子学生の間で大流行しましたね。「髪が耳にかからない」という校則を見事にクリアしているからです。
本当にPATi-PATiの創刊経緯にチェッカーズが絡んでいたのかは不明です。しかし84年8月の創刊号はまさに彼らを中心とした構成となっていました。もちろん雑誌という関係上、チェッカーズだけでなく、多くの新人男性アーティストを取り上げる内容となっています。また、新創刊というスタイルは、デビュー間もない彼らの上の世代がいないということにもなります。恐らく若い世代であろう編集者たちもそうですが、掲載されたアーティストたちも、伸び伸びと自分を表現することができたのではないでしょうか。芸能界、特にこのころはまだ年功序列的な因習なんかもあったはずです。そこから距離を置くことができたという点でも、本誌の功績は大きかったのではないでしょうか。
86年12月号の目次。女性アーティストの比率も増え、総合音楽誌的な方向になってきたと思われます。この後発行元はソニー・マガジンズに名前を変え、90年代初頭のバンドブームを支え業績を伸ばします。しかしバンドブームの終焉と共に音楽雑誌全体が低迷。母体だった「ギターブックGB」は「Gb」に誌名変更した後2003年に休刊。ソニー・マガジンズは音楽専門チャンネル「MUSIC ON! TV」を運営する「エムオン・エンタテインメント」となるなど紆余曲折を経ます。しかし「PATi-PATi」も2013年10月に休刊。誌名は同月開始の「MUSIC ON! TV」内の番組名に引き継がれました。
やはり雑誌を時系列に並べるだけで、当時の音楽誌の流れが伝わってきます。こうした感覚は単行本などにまとめられるとなかなか実感することができません。
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