シモーヌ・ヴェーユの『カイエ』全4巻(1992年~1998年発行/みすず書房)など哲学思想書を多数お譲り頂きました。どうも有難うございました。
この本は、1909年にパリに生まれ、1943年に34歳の若さでロンドンで客死した女性哲学者シモーヌ・ヴェーユ(ヴェイユ)が綴った雑記帳です。
第一次世界大戦直前のパリに生まれたヴェーユは、優秀な頭脳によって高等師範学校卒業後教職に就くものの、組合活動に力を入れたことで敬遠されるようになります。ドイツ旅行や、亡命中のトロツキーとの接触、労働者としての知見を得るため複数の工場で働くなどの稀有な経験を経て、スペイン内戦に義勇兵として参加しました。やがて勃発した第二次世界大戦、彼女の家はユダヤ系であったこともあり、パリ陥落直前に脱出。やがて一家はニューヨークに移住しますが、シモーヌはさらに大西洋を戻ってロンドンに渡ります。そこでド・ゴールの「自由フランス」政府の職員として働き、人生の終焉を迎えました。
パリ脱出直後の彼女から十数冊の雑記帳を預けられた友人のギュスターヴ・ティポンは、その内容をテーマごとに編纂し、1947年に『重力と恩寵』を出版。その本がベストセラーとなったことで、彼女は広く名を知られるようになりました。
この『カイエ』こそがヴェーユが綴りディポンに託した雑記帳を全訳したものであり、『重力と恩寵』のいわば原本です。ディポンの手を経る前の段階であり、『重力と恩寵』と同じ内容とはいえ、表現や解釈の違いを見ることができるようです。
各巻の訳者たちはヴェーユ関連の著作を多く担当しており、『重力と恩寵』をとってもちくま版を担当した田辺保氏と、岩波版の冨原眞弓氏が参加しているなど、万全な布陣といえるでしょう。冨原氏はムーミンやトーベ・ヤンソン関係の著作や翻訳でおなじみの方もいるかもしれませんね。
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