『日本名跡叢刊』をお売り頂きました(書道)


書道のお手本書『日本名跡叢刊』(全101巻揃/二玄社)が入荷しましたのでご紹介いたします。

前回、中国の作品を載せたお手本書『書跡名品叢刊』をご紹介致しましたが、今回はそれの日本の作品版になります。日本の数多くの著名な書道家等の作品を収めた全101巻になります。

道風

道風書跡

 藤原行成、藤原佐理と並んで日本の三跡の一人とも称させる、和様書道の基礎を気付いた小野道風の作品を収めた巻です。どの頁を見ても、とても達筆で言葉を失って眺めてしまいます。ここまで達筆な道風も最初からこんなにも上手かった訳ではなく、むしろ下手で納得のいくものが出来ず、書道の道を諦めようとすら思っていたそうです。そんなある日、距離のある柳に諦めず何度も飛び移ろうと努力し、とうとう柳に飛び移った蛙を見て、自分も諦めずやり続けてみようと決心したという有名なエピソードがございます。ちなみにこれ、花札の11月札、『柳に小野の道風』の札のモチーフになった逸話なんです。弘法大師とも呼ばれた空海を苛烈に批判したりと気性の荒い人物だったとされる道風ですが、なんとも微笑ましいエピソードですね。道風はその輝かしい経歴からか神社(道風神社)に祀られてもいます。守護の神である産土神として祀られているので是非京都に観光などをした際は訪れてみてはいかかでしょうか。

烏丸光廣

東行記

 続いて江戸時代の書道家、烏丸光廣の『東行記』です。京都にある京都国際マンガミュージアムなども点在している有名な烏丸通から名前を拝借した公家、烏丸家の長男として生まれた光廣は退屈な公家の生活が嫌で、自分がもっとさらけ出せる書道家になりました。さてこの『東行記』、名前の通り「あずまくだり」という段がある有名な『伊勢物語』に影響されて作られているのですが、歌や詩だけでなく、なんと絵が添えられた旅行記となっています。当時、京都から江戸までは大体2週間はかかる長い旅路だったようです。その旅路を綴ったものですが中々特徴的な崩し字で少し読みにくいかもしれません、しかしその道中模様を絵を添えてくれているのでグッと情景が分かりやすくなっていると思います。今の旅ブログとかのご先祖さまですね。光廣は仮名草子を書いていたりもしていたらしいので、絵を載せた方が分かりやすく読んでくれるという事を知っていたのかもしれません。

日本の古典としても興味深く読める書道のお手本書、二玄社の『日本名跡叢刊』のご紹介でした。みなさんも是非お手に取ってみてください。


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