(全集買取)ロシアの文豪、ドストエフスキー全集のご紹介

二〇巻を超えるボリュームの『ドストエーフスキイ全集』(全21巻揃/河出書房新社)が入荷致しましたのでご紹介させていただきます(新潮社版ドストエフスキー全集買取のご紹介はこちらへ)。

今日でも新訳がたびたび発行される作家ドストエフスキー、最近でいえば、映画も放映されましたアニメ『文豪ストレイドッグス』にフョードル・ドストエフスキーとして登場していたので記憶に新しい方もいるのではないでしょうか。他にもニンテンドー64用ソフト『罪と罰 ~地球の後継者~』のようにタイトルに使われたり、フジテレビで五年ほど前に『カラマーゾフの兄弟』が映像化されるなど、様々なメディアで彼の作品を目にしているのと思います。今回はそんな大作家の著作が丸ごと全部収められた全集をご紹介いたします。

ドストエフスキー全集

激動の時代を生き、書き記したその全てが納められた全集で、『罪と罰』や『白痴』などの作品の終わりには作者本人の創作ノートが一緒に纒められており、作者や作品を深く理解するうえで大事な手掛かりになるものと思います。中を見てみると非常に緻密に場面設定や登場人物の心情が膨大に書かれており、これだけで既に作品になっているような印象を受けます。作品を作る上でどこまでプロットを細かく緻密に書くかは作家それぞれだとは思いますが、これは非常に詳細かつ緻密にセリフまで丁寧に書かれているのは中々無いかと、ここまでとなると畏敬の念を抱かざる負えません。

罪と罰全集

他にも友人や親族などに送った書簡など、ありとあらゆる彼の書いた文章が収録されており当時の混乱しつつあったロシア帝国の社会不安など混乱した世相、彼を取り巻く環境や交友関係を知る事ができます。数多く妻へ送った書簡が登場しますが、どれも長く事細かに自分の現状を語っており、なんだか寂しがりやの子供に見えてきて微笑ましくなります。かと思えば、事務的に簡潔明瞭書かれた文章ではとても鋭く返答していて頭のキレる観察眼の優れた人物である面を覗かせたりもしています。また共通して文面の始まりは、相手の事を敬愛していますと様々な語句を用いて表明してから始まっているのは、礼儀を重んじる人なのだなと分かります。
ここまで膨大に収められた書簡はもはや手紙という枠を超えて他作にも負けない良質な作品の域に達していると読んでいると感じます。小説を読んだことがある人は多いと思いますが、その作家の手紙を読んだことがある人は少ないのではないでしょうか、小説よりもさらにダイレクトにかつ生々しく心情が書かれているものですし、作家の日常が他の人と大して変わりなかったり、はたまた奇想天外なものであったりと、作家の人となりが分かったりするので、結構おすすめです(一つ一つの文章量も短いですしね)。

ドストエフスキー全集

生涯や作品解説が乗っている副読本として活用できる別巻の研究本もございます。第一部の「生涯」はまるで物語のようにとうとうと書かれ、時代を分け章だてているので非常に読みやすいものとなっています。自分もこれを読んで初めてドストエフスキーが雑誌の編集社に務めている事を知りました。そこで働いていた結果どんどん感化され、医者に止められていた執筆活動を始めてしまうとあり、本当に書かないと生きていけない人だったのだなと改めて彼の凄さを痛感させられます。毎回自分の発作の起こる状況を書き留めて確認までしているのに、なお書こうという執念には尊敬を通り越して恐怖すら覚えます。
第二部の作品解説は当時の書かれた背景から説明が始まるので、各作品を読む前に先にこちらを読むのもいいかもしれません。例えば彼の代表的な作品である『罪と罰』の着想は一八五九年に辺りに始まり、そこから足掛け六年もの間、書くために必要な情報を収集していたとあります。彼がどれだけ世界と時代を観察し、体験した事を『罪と罰』という作品の中に詰めているか、これだけでも並大抵のものではないと分かっていただけるかと思います。
ここまで書いていると、何もかもを見つめた万能の観察者の様に映ってしまいそうですがドストエフスキーにもあまり目に入っていなかったものもあります。それは「自然」です。『白夜』の作品考察の頁には、彼は不幸な人間の観察に没頭していて自然というものにはあまり目を向けていなかった。ということが、作品の文章の引用等から明らかにされています。そう書かれているの目にすると確かに、彼の作品では豊かな自然というもの目にした記憶はありません。こういった情報を頭に入れて読んでみると作品が違った見え方をしてきてより豊かな読書体験ができると思います。

別冊

いつの時代でも多くの人々に読まれる稀代の作家ドストエフスキーの全てが様々な角度から分かる全集、『ドストエーフスキイ全集』のご紹介でした。


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