第19回の「散歩」のタイトルは「長編と短編」だった。「わたしは長編小説が好きである」という書き出しで、子どものころから長い「お話」を好んだ記憶、思い出を紹介し…
かまってください/第33回 大森葉音 エッセイ
夏らしい毎日。 暑苦しい室内に閉じこもって本ばかり読んでいると、なんだかこころが内向きになっていく。そんなときは、近くのカフェや公園に出かけ、涼をとりながら読…
影のふしぎ/第32回 大森葉音 エッセイ
6月21日は夏至だった。 柳田国男の本で読んだが(『先祖の話』だろうか)、かつて夏至には近しい死者が還って来たらしい。 昼の長さと夜の長さの消長には、4つのポ…
危機一髪の情事/第31回 大森葉音 エッセイ
みなさんはピッチャー返しをくらったことがあるか? わたしは、ある。 学生時代のことだ。所属した文学部には、「学科対抗ソフトボール大会」というイベントがあった。…
Xの詰まった袋/第30回 大森葉音 エッセイ
今回はちょっと「血」の話をしようと思う。苦手な方は無理せず、本の紹介だけご覧ください。佐藤亜紀『吸血鬼』(2016)を採り上げるけど、そっちは「血」の話が控え…
「真実の口」効果/第29回 大森葉音 エッセイ
「戦争映画が観たいなー」と脈絡もなく、唐突に思った。近所のレンタルショップまで雪道を歩くこと30分。スティーヴン・スピルバーグの『戦火の馬』(2011)、『プ…
カラスと闘う/第28回 大森葉音 エッセイ
みなさんは、カラスと闘ったことがあるだろうか? わたしは、ある。 まず、カラスの弱点は何か? ほんのささやかな偶然がきっかけで、わたしはそれを知ることになった…
オモチャの21世紀/第27回 大森葉音 エッセイ
2024。新年、あけましておめでとうございます。 初日から北陸地方で大きな地震。2日には羽田空港滑走路で航空機の接触事故。波乱の幕開けである。この先も、あまり…
飛光よ! 飛光よ!/第26回 大森葉音 エッセイ
ものみな衰える秋。 自分もすっかり老年であり、気力、体力が充実していた若い時代にくらべ、めっきり「人生の秋」を痛感するこのごろである。ゴホゴホ、ゲホ。 「歯の…
太陽が黄色かったから(下)/第25回 大森葉音 エッセイ
(上編よりつづく) 『土佐日記』は笑いと友愛にみちた地方=土佐から、空虚で暗い夜の都への絶望的な帰還を描いている。まるで竹取の翁と媼が、かぐや姫を月の世界に追…
古書店三月兎之杜より執筆者のご紹介
作家。2000年に「大森滋樹」名義で「物語のジェットマシーン―探偵小説における速度と遊びの研究」で第7回創元推理評論賞佳作入選。
探偵小説研究会に所属し、ミステリの評論活動をはじめる。『ニアミステリのすすめ―新世紀の多角的読書ナビゲーション』(原書房)、『本格ミステリ・クロニクル300』(原書房)、『本格ミステリ・ディケイド300』(原書房)、『日本探偵小説を読む』(北海道大学出版会)、『日本探偵小説を知る』(北海道大学出版会)に共著者として参加。現在、北海道新聞日曜書評欄「鳥の目虫の目」を3~4か月に1度、持ち回りで執筆している。
2013年に「大森葉音」名義でファンタジー小説『果てしなく流れる砂の歌』(文藝春秋)を上梓し、小説家としてデビューする。2015年には本格ミステリ『プランタンの優雅な退屈』(原書房)を刊行している。
地元札幌の豊平川サイクリングコースを自転車で走り回るのを楽しみとする。